--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

『ノートから始まる出会い』と『少年捜し』

2010年01月29日 02:56

 こん**は、卯月れんです。この日記が世界を超えて、現代日本に流れ着いたなら信じられない事だらけだと思います。一月も終わりとなれば、気持ちの良さそうな方向を向いて海苔で巻いた棒状のお寿司をお口に放り込む恵方巻ですとか、節分の豆まきだとか。そういった嬉し恥ずかしい行事に参加したり? うーん、どうだろうなあ。
 翻って、ファーレン王国と言えば。雪が収まった後は、いつも通りやや混沌。毎日泊まる冒険者の宿、その一階にあるバーでは喧嘩や笑い声が絶えない。一方で、夜の西地区、その奥では不慣れな新人冒険者がヤフー (ならずもの) に襲われて悲鳴を上げる―― そんな毎日、けれど異世界に投げ出された私達が生きる日々。それを記録に残す、旅日記。色々なタイトルがあるけれど、私達召還された冒険者は多かれ少なかれ日記を付ける。


 そんな、異世界の生活を記した旅日記は、皆に読んで貰う為に、もし旅の途中で客死してしまったとしても同じ境遇にある冒険者に覚えてもらえるように。
旅日記

 冒険者の宿、そのカウンターで貸し出され、多くの人が日記を納めている。ギルドの税よりも、事件を解決した褒章代わりの "クリアの証" よりも、丁寧に丁寧に扱われるそれは、この地で旅する人の記録と言う訳。私が書いているこの旅日記も、私と風ねえ (卯月風夏)に妹のれなが、この地で暮す日々をあれこれ付けている。

 ある日。いつものように、ギルドの待ち合わせ場所でぼんやり星空を眺めていたときの事。手紙が届きました。

『旅日記を何時も読んでいます。今度良ければ一緒にお話でもどうかな?』

 驚きました――

それで続きは? と言う方は下のリンクをクリック!
**URL直接指定の方はそのままスクロール**



 それは、ポストに初めて自分宛の手紙を見つけたあの日のような驚き、胸が跳ねて私は何度もその手紙を読み返した。会った事も無い日記の主に手紙を書くのは、どんなに勇気がいることだろう。返事が来なかったり、嫌われたりしたらどうしよう? 私だったらそう考えるんじゃないだろうか。
「風ねえ! コレ…… こんな手紙が届いたんだ!」
 クレリック業を何となく続けている、自称ダメリックな風夏姉さんは、興奮した様子の私から事情を聞くと、ふうむなるほどと何か考えた様子。
「ねえ、れん。貴方、それで返事はどうするつもりなの?」
「返事……? ああ、そうかー、お返事書かなきゃなあ。何て書こうか、ええっと時候の挨拶や、はじめましても必要だよね? 後はえっと」
 あたふたと、狼狽える私にデコピンを一つ。風ねえが微笑みながら囁いた。
「こういうのはね、シンプルでいいんだよ。れんは、この人とどういうおつきあいをしたいのかな?」
 ああそうか。日本でも、ドイツでも、異世界だってこう言うのは、変らない。スラスラとペンを走らせて、手紙をかの人の元へ――

『お友達になってくれませんか?』


 返事がまた返ってくるまでの間、あっちをうろうろ、こっちをうろうろ。そして、返事が返ってきて。少しお話しましょ? の言葉に頷いて、出会ってからお互いニコリと微笑み合いました。お友達が出来ました。

jcrc_1.jpg
お手紙をくれたMhさん。これからよろしくね!


 楽しい語り合いは、流れ星が落ちていくように早く、けれども星の光のように長く続いた。それが溜まらなく嬉しかった。Mhさんは、戦う調理師で何でも大きな斧をブンブン振り回すらしい。曰く、この斧で壁だって壊す…… けれど修繕費が掛るから壁はちょっとなあ、とのこと。
 あれこれ話す内に、話題は大厄災に包まれようとしているこの国の治安について話が及ぶ。

「聞いたかい、れんさん? まだ十かそこらの子供がもう下水道に行ってから三日も帰ってきて無いって話」
「いつも、戦闘待機の時はここに居るけど、子供なんて……」
「いや、その子供のお母さんから依頼を受けてきたんですよ。ジャック君って言うまだ小さな男の子。今日でちょうど三日目になるんだ」

 すぐさま、依頼人であるジャック君のお母さんに私も依頼を受ける事を告げて、下水番をはね飛ばす。
「おい、勝手に入ってくれるな! 私はこの下水の番を……」
「「子供がここに入ってもう三日も行方不明なんだ。邪魔をするな!」」
 急転直下、出会ったばかりの二人が、仄暗い下水道へ走り出す。

 王都、ファンブルグの下水処理システムは、相当複雑。けれども、乗り込んだ先は最終処理を行う浄化施設を含む高度化された下水道。何を隠そう、私達冒険者が最初に挑むダンジョンが、この下水道A区画と言って良い。ゴブリンに始まる敵対的な亜人、巨大な蜘蛛タランチュラ、緑色の悪意グリンオンブル。この地で戦い、果てる事を期待された冒険者が必ず通る道、けれどもタダの子供には危険すぎる場所。どうして彼はそんな所に一人出かけたんだろう? 何より、あの下水番の兵士は何をしていたんだろう?

「ちゃんと返してあげたいね」
「そうだね、まだまだ小さいもんね」

 そう言って、Mhさんと決意を新たにしていたその時、ちょうど曲がり角。ぼろぼろの子供服が一つ。踏み荒らされて汚れきったそれは、Mhさんが母親から聞いた特徴に合致する。周囲への警戒を一段階強めて、角を曲がり、道を進む。そして、汚れたコミックブック。母親が作ったお弁当…… ああ!


大丈夫、まだダメだって決った訳じゃ無いんだから
最悪の想像から逃げるように、そう互いを励まし合う


 走る、趨る、奔る。
 碌な灯りの無い下水道では、こっちに来て覚えた魔力光で足元を照らすしかない。戦闘職である私は、比較的得意な方、けれどMhさんはまだ不慣れなのだと言う。
「料理を作る時に使う魔法の方が、得意だからねっ」
 なるほど、金属の精錬も、料理で食材を加熱するのも、皆魔力―― 精神力を使う。

jcrc_3.jpg
あの子の生存を信じて、私達はただ走った


 旅も、物事も、当然命でさえ何時か終わりが来る。私達が行き着いた先は、浄化槽区画。その自動運行制御された装置の傍にソイツが居た。獣臭い息づかい、辺りに乾いた血液の跡、小さな子供サイズの靴。もう限界だ!
 私達は雄叫びとか、そういう目に見えた怒りを表そうとは思わなかった。
「あれが、どうやら此処のボスですよ」
「ええ、ありゃトンでもない王様気取りですね?」
「やっちゃいましょうか」
「天国まで逝かせてやりましょうとも」
 Mhさんの斧が無粋な影を叩きつぶし、私の持った剣が魔法を唱える影を切り刻んだ。偉そうに羽を揺らす奴、ひとつ藪睨みしてから同時に息を吸う、振り上げた斧と剣が明確な殺意を持って、浄化槽のボスは断末魔の叫び声を上げた。

 終わった。
 何ともやりきれない、そんな空気が漂った時、甲高い高笑いと共に現れたヤツがいる。ノッカーマスク、ヤツによればジャックは既に家に帰っているだろう。なぜなら、私が救ったからだと高笑いを繰り返す。あっけに取られて、慌てて地上へ駆け上がり、下水番の兵士に屍体の処理を頼むと、私達は少年の家に急いだ。

jcrc_5.jpg
思わず詰め寄る二人


「怪我してない?」
「何だったらおねーちゃんがオムレツ作ってあげよっか?」

 目を白黒させるジャック君。一通りのお説教に、しゅんとなりながらも、あのヒーローもどきを持ち上げる。

jcrc_6.jpg
逆にあっちの方が怖くないかな?


 お礼のクリアの証と洒落たブーツを揃って貰って、見張り台の近くでホッと一息。
「あーあ、心配損だったなあ」
「でも無事だったから、トータルで言えば丸儲けじゃないですか」
「それもそうだね、悪くなかったかも」

jcrc_7.jpg
おつかれさま


 一夜明けて、沈んでくたくたなのに、不思議と宿に向かう足は軽く、羽のように動くのでした。
 お友達が、出来ました。



筆者あとがけ........orz )

 はい、そんな訳で何故か書いて無かった下水道クエ、『登場、超正義ノッカーマスク!』でした。例によって嘘八割本当二割の捏造劇をお送りしました。ちなみに、Mhさんがお手紙下さった件とそれに返信を出す過程で中の人 (テレビの砂嵐で人の顔を見いだすような存在、つまり存在しない) がドキドキしておそるおそるメールを書いた事。凄く嬉しかった事。これは本当のことです。今回はスクリーンショットが少ない分、細かく描写したつもりなのですが、文章的に背景描写を懲りすぎるとくどい絵…… こういって良いのか分かりませんがJOJOみたいな何だか色々あるけど見づらい絵になりかねませんでしたので、その辺りばっさばっさカットしてます。下水道がどんな感じかは、それこそゲームで体験してみて下さいね。
 今回、快く文中からのBlogリンクに応じて下さったMhさん。この場を借りてお礼申し上げます、ありがとうございました。そしてこれからも、ダメな卯月ですが、どうか仲良くしてやって下さい。どうぞよろしく♪
スポンサーサイト


コメント

  1. 美葩 | URL | -

    壁は壊すためにあるのだよ、と彼女は言う。

    こんにちは(*≧∇≦*)
    調理師改めヤブ医者の美葩です。

    あの短時間で書きあげたとは思えないほどの完成度の高さにビックリ!
    さすがれんサン。感服いたしました。
    特に、旅日記が冒険者の宿で貸し出されているとか。
    ファンブルグ王都の下水処理システムは相当複雑だとか。
    背景の細かい設定がすごく良い味をだしてますΣd(ゝ∀・)
    そして、下水番兵士の職務怠慢ぶりは酷すぎると思いましたw

    リンクまで貼っていただいたので、これからもより一層精進いたします。
    また一緒に遊びましょうね~♪

  2. 卯月の中の人 | URL | oUPgpoCM

    コメントありがとう~♪

     こんばんは、活動時間はもっぱら夜。昼は昼で仕事も忙しい、電車の中はふかふかのベッド。卯月の中の人です。

     コメントありがとうございます。今回は、キャラクタのフィクション性を全体にずいずい押してプロットにはめた感じです。なので、スイスイ書けました。問題は、ウケを狙ってあれこれ文章中にネタを仕込むと収拾が付かなくなってしまうんですよねー。

     あと、旅日記、下水処理システム云々は、何というかファンタジーの補強ですね。そこを評価して頂いて、何だか嬉しいです。

     こちらこそ、これからもよろしくお願いします。また遊びにいきましょう^^

コメントの投稿

(コメント編集・削除に必要)
(管理者にだけ表示を許可する)

トラックバック

この記事のトラックバックURL
http://iamsleeping.blog25.fc2.com/tb.php/90-32c41606
この記事へのトラックバック


最近の記事


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。