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サンタなんて用済みだと思ってるよね?→私がサンタさんだ……

2009年12月22日 12:29

kisi_s.jpg こん**は、卯月です。きっと、元の世界ではクリスマスに向けて老いも若きもキャッキャウフフしてらっしゃるんでしょうが、ここファンブルグでは大の聖人とも有ろう人が、クリスマスを狙って人民に獣やら触手をけしかけるとか……


 酷いクリスマスもあったものです。
 今日はそんなクリスマスの冒険について書きましょう。


 私を含め、沢山の人が王宮召還師ゲイツに呼び出され、人口が激減したファーレン王国の富国強兵に充てるつもりなのか、謎の大厄災に対処せよと半ば義勇兵の形で生活することになりました。当然、日銭は稼がなくてはなりませんし、我々冒険者がどれだけ頑張って稼いでも、真っ当な部屋一つ借りる事も出来ず、どこの街の宿も冒険者で一杯です。
 そして、やってくるのがクリスマスです。クリスマスと聞くと、平和だった元の世界での暮らしを懐かしむばかりです。街はカップルで溢れかえり、部活帰りの道沿いにあったラブホテルは、常に満室になるのです。もっとも、何年かに一回は、クリスマスが中止になるそうですが、まぁ電車が遅れる程度の感覚でしょうか。よくあることですね、噂によると2009年のクリスマスはやっぱり中止になったとかそうでないとか。

 懐かしいなぁ、日本のクリスマス。

 ところで米国で言うところのブラック・フライデーよろしく、ファーレン王国では、クリスマスの少し前になると、急に鬱に浸ったサンタが、トナカイを民衆にけしかける祭りがあります。

 ……?
 あるの!?

 これ、不味いんじゃないでしょうか。今や剣士になった身、これを捨て置くことは出来ません。早速、調査に出かけることにしました。

酷い話だね、それでどうなったの?
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0.情報収集

 街の噂…… と言うのは、案外侮れない物です。

 この噂と言う概念は、近代から現代に掛けて厄介な物でした。そう、噂に惑わされたが故の悲劇があったのです。例えば、災害が起こったときの流言がそうです。日本を例に取れば、関東大震災時に 『朝鮮人が毒を入れている』 と言う噂から各地で自警団が組織され、多数の罪無き朝鮮籍の人が殺された事件があります。また95年に起きた阪神大震災では、震災直後に様々な噂が飛び交い、結果効果的な避難が出来かったような事がありました。

 とは言え、それは産業革命から電信が発達した、近代以降の話。魔法文化があるのは確かですが、日常で用いられる魔法が少ない以上、やはり情報は多くの人が行き交う場所から仕入れるのが一番確実なのです。中世におけるオスマン・トルコの繁栄は、中継貿易地であると同時に、情報交換が盛んだったからだとも言えるのでしょう。そんな中世の香り漂うファンブルグ、荒事に関する情報を集めるなら、酒場よりも城の地下に広がる冒険者ロビーが一番です。そこは、何のつもりか異世界から拉致…… もとい、召還した冒険者に必要な知識を与える訓練施設であり、交流の為のスペースであり、用意された建前でしかありません。でも、私達はそこに足を向けるしかないのです。

1.白いトナカイ

 近頃、めっきり参内することも無かったリセリア城へ向かう途中、城の中庭にツリーがデコレートされた大きなモミの木が。そう、クリスマスツリーです。電飾こそありませんが、それでもキラキラ光るモールや、プレゼント箱をかたどった飾りが綺麗です。何やら説明書きのつもりなのか、看板が立っている所を見ると、東地区の商店や露天商がお金を出し合って建てた物なのかも知れません。
 ふと、枯れ草の色では無く、白く大きな生き物が…… あれは? 私は慎重に近寄りました。



白いトナカイは珍しい。アルビノだろうか。


 距離を測りかねて私が困惑していると、白い立派な角を持ったトナカイが、首を傾げます。どこか頼りそうな瞳に見つめられると、やがてそれは害意では無く同じように困惑しているのでは? そう思いました。
 思い切って、一声掛けようとしたその時。トナカイが喋ったのです。それも、日本語で…… 日本語で?



「……お腹空いた、何か持ってない? 紙っぽいのが食べたい」


 鞄の中を探しますが、彼の望む物は出てきそうにありません。魔力圧縮した鞄の中には、旅に必要な物から生活に必要な物。果ては出来たての料理が何故か出来たてのまま入っていたりしますが、あいにく紙っぽい物はありませんでした。ちなみに、第一声こそ驚きましたが、よくよく考えればモンスターだって日本語を喋るこの世界。一々気にしていたら身が持ちません。
 でも、自然界で生きていけない筈のアルビノのトナカイがどうして…… そう、疑問を口にしてしまったのでしょうか。白いトナカイ君―― 面倒臭いのでアルビィ君 (仮称) とでもしておきましょう。 ――が、ツリーの前に立つ看板を指すのです。一体何が、あると言うのでしょう。大した事なんて書いてないだろうと思いながら、看板の文字を読む事にしました。

2.サンタさんは憂鬱

「読まなきゃ良かった。子供の頃の夢が台無しだよ」


どうやらサンタさんは、鬱に浸っておられるようです


 メモを読み進めてみると、赤いトナカイを探してごらん…… 何やら人をナメた口調ですが、もしこのメッセージが本当だとすれば、それはかの聖人ニコラウスかそれに繋がる人なのです。多少の尊大さは目をつぶっても良いのかも知れません。アルビィ君に餌を約束して走ります。その赤いトナカイはファンブルグ市内にいるそうなので。

発見赤トナカイ!
いました…… 本当に赤いのね。


 赤いトナカイ。間違い無い、あの憂鬱でどこか上から目線なサンタの書き置きにある通りの姿でした。
「ちょっと、いいかな?」
 すると、赤いトナカイは、私を一瞥すると如何にもトナカイらしくひと鳴きして見せたのです。明らかにこちらの出方を見てから鳴いて見せた、既に事の次第は知れているのでしょう。では、何故このトナカイは私を謀ろうとしているのか? 答えは簡単です。彼には、語りたくない事情があって、私の行動は彼にとって不利益それだけです。
「ねぇ、どうしても話してくれないのかな?」
 赤いトナカイは、首を傾げまるで『君が何を言いたいのかサッパリ分からない』と言った風情。帽子のつばに雪がつもるまで、長い沈黙が続きました。彼が視線を逸らしたその時、バスターソードを抜いて彼の首筋に押しつけたのです。
 実に簡単で、完璧な交渉。先に手袋を投げたのは、私ではないよね?



最初からそう言えば良いですよ?


 何か、大きな、或いは禁忌に触れたかのような目で、尋ねる赤トナカイ。引き返すなら今の内だと目で訴えかけてきます。これはそう、例えば罠なのかも知れません。元いた世界、イタリアはシチリア島のマフィアがやったこと。それは、殺害予定の人物に白いバラを送るのだそうです。殺意を隠して、隣人に微笑むかのように。
 だとしても、今更です。飢えたアルビィ君がいて、目の前にいる赤いトナカイは何か戸惑っている。そこに事件の影、或いは犯罪や荒事の匂いがすれば突っ込まざる得ないのが冒険者なのですから。覚悟と共に了承すると、凄い勢いで赤トナカイにはじき飛ばされました。

「そりゃないでしょ?」

 鈍い衝撃が内臓に響きます。咄嗟の事だったので、受け身もとれず浮遊感を感じた時、意識は何処かへ飛んでいったのでした。

3.サンタ死すべし

 夢を見ていたような気がします。夢なら仕方ない…… ○○と言う夢を見たんだ~ と言ったニコニコ動画における死亡シーンの定番ネタが頭を過ぎります。そう言えば、ニコニコ動画ってあれからどうなったんだろう? 自民党はまだ政権を握っているんだろうか、まさか民主党が政権取った挙句社民党と連立してたりしてないよね? などと、もう戻れない故郷の事が頭の中をぐるぐる回ります。
「ほお、これで日本人かね。もっとこう日本人ってのは髪の毛が黒で…… 肌ももう少し黄色いと聞いていたが。この子はハーフか何かなのかね? うん、体つきは、年相応……」
 やさしげで、どこか包容力のありそうな壮年の男の人。耳元で、遠くで、そんな声が聞こえる。しわの多い手が私の体を這い回っていた。ちょ、そこは触っちゃ。

 触る? 這い回るだって?!


なんで、どうして鎧だけ脱がされてるんだろうね? サンタ…… さん?


 気がつくと、雪の上で気を失っていたみたいです。どういう訳か、器用に鎧だけ脱がされ上半身はシュミーズ一枚と下着だけになっていました。よくよく見ると、成人男性サイズの足跡が私の寝ていた辺りにベタベタと、そして真新しい足跡は階段へ続いています。看板を見ると、サンタの仕事場。サンタさんに息子がいたり、奥さんが居たなんて話は聞いたことがありません。と言う事は?

「サンタ死すべし!」
 声はどんな戦闘に赴く時よりも、激しく張りのある声だったに違い有りません。
 気を失った女性の服をひんむいて、ナニをしようとしたんだい?

サンタからの挑戦
ナニを頑張れと? どう頑張れと?
素っ裸に靴下、サンタの赤い帽子被りながらアンタの上でどうしろって?


 今日この時。私は子供の頃、父の膝で甘えながら聞いたサンタクロースの物語と、キッパリ決別したのです。
「サンタさんは必ずいる。けど、この世界のサンタはトンでも無い―― タダの色魔だ」
 珍妙な仕組みで折角の装備もR2クラスの物しか装備出来ないようです。いいですとも、Lv10相当でも、サンタの一人や二人、なんとかなるでしょう! 怒りに身を任せながら邪魔するものがあろうと無かろうと、ひたすら進みました。途中、何か斬ったような気がしますが、良く覚えてません。


サンタは何処へ行った? 出せ……


 サンタの仕事場に乗り込むと、そこに既にサンタの姿はありませんでした。
 一足遅かった! こんなに後悔したのは間違って味方に攻撃魔法を撃ってしまった時以来です。もっとも、兵士だったから使う資格があっただけで、剣士になった今は使える魔法と言えばエールとヒールくらいですが。
 おそらくサンタの手下であろう緑色のトナカイをヘッドロックしながら、お話すると、彼は許しを請うように蝋緘つきの封筒を差し出してきたのです。
「こっ、これをあの子の前でお読みなさいっ」
 緑トナカイを仕事場の向こうに広がる闇の中に放り投げ、急いで城の中庭に戻ります。そう、アルビィ君はまだ生きているのでしょうか。

4.「神は死んだ、我々が殺したのだ」「サンタも死んでいた。誰が殺したか分からないが死体も残っていなかった。きっと我々が殺したのだ」

 中庭へ走ると、既にアルビィ君は私を待っていたようでした。暗闇に突き落とした緑トナカイの言葉が脳裏を過ぎります。この子の前で手紙を読めば……? どうなると言うのでしょうか。手紙の中身は簡単な物でした。曰く、サンタの庭に来て、警備のトナカイをくぐり抜ければ良い物くれてやろうと言うのです。
「何処までこのサンタ、人をおちょくって」
 怒りは半分呆れに変って行きました。これでは、近所の悪い子や悪戯娘と変りません。さて、この手紙をどうした物かと思案していると、アルビィ君が手紙を熱心に見つめています。
「ん、この紙がどうしたの?」
 アルビィ君の答えに、私はまた異世界の神秘を見てしまうのです。それは……


え、お手紙食べるのは山羊だったような気が


 手紙、それも綺麗な上質紙をもしゃりもしゃりと食べるアルビィ君。その表情は飢えたアフリカの子供のようなギラギラした目つきから一転。こたつの中でみかんを食べる五歳児のようでした。これで、ひとまず目の前の問題は片付きました。後はサンタを始末するだけです。
 文面を信じるなら、山沿いにサンタの庭があるそうです。もう、ここまで来たら報酬関係無しにやるしかありません。つくづく、損な事件に首を突っ込んだような気がします。せめて、サンタを討ち取ってその首王国に献上しなければ気がすみません。

 山沿いを進むと案の定、サンタの庭に着きました。どことなく神殿跡を思わせる庭を奥に進むと、沢山のトナカイが待ってましたと言わんがばかりに殺到して来たのです。

「水属性に強い属性はどれ?」「剣士さん女の子だよね? バストサイズと一番感じる場所教えてよ」「Dragon族に強い種族のモンスターは?」「お風呂に入る時はどこから洗う? うなじが最初、それとも足から?」「イールの特産物は?」「今どんな色のパンツはいてるの?」

 ここぞとばかりに質問してきたり、障害物を並べてニヤニヤしてたりと鬱陶しい事この上ありません。全て一切合切撫で切りにして行きます。あるトナカイは角ごと地面に埋めて、破廉恥なトナカイは足場に広がる暗黒空間に放り投げ、クイズを投げかけるトナカイはバッサバッサと切り捨てました。

……べつにいいよね?


ここがサンタの庭。昔は何らかの神殿だったんでしょうね。


 やがて辿りついた終着点。お礼のつもりか、一枚のクリスマスカードを手に入れました。
 それが、この冒険の終着点でもあったのです。看板には、その先にサンタがいると書いてありました。

 書いてあったのに。


実態の無い、組織、人。それはサンタさん?


 井戸をくぐると、そこには、未だ鮮明な血だまり、あちこちが破けたサンタの衣装。点々と続く血の跡、足跡は紛れも無く『あの』サンタクロースの物でした。足跡を追うと、どんどんファンブルグに近づいていきます。雪が降り積もる中、山道を折り、後数キロで街と言うところで、サンタの足跡はぷっつり途切れているのです。まるで、そこから飛んだかのように。最後の足跡に血痕は残っていませんでした。急に血が止まった訳ではないでしょう。かなりの深手を負ったサンタクロースは、ここに至るまで相当の出血をしていた筈です。
 ふと、私の脳裏に何時か聞いたニーチェの一節が浮かびました。
『神は死んだ、我々が殺したのだ』
 手元には綺麗に飾られたクリスマスカードが一枚あります。何か大切な幻想を一つ無くしてしまったのかと、酷く悲しくなったのです。

 クリスマスカードに、春画が描かれていなければね! そうだろ、サンタさん!
 サンタクロース、楽に逝けると思っちゃダメだよ?


筆者あとがけ…… orz)

 はい、そんな訳でクリスマスクエストを、嘘9割でなんちゃって冒険日記仕立てでお送りしました。久しぶりにコンチェ冒険日記を書いた所為か、ムダに長くなってしまっているのが何とも辛い所です。今回は、SSの多さの割に話のボリュームとしてちょっと足りないのではないでしょうか。別に書き直すつもりはありませんし、そもそも一発書きかつ校正&推敲なしなので、とりあえず起承転結付けるのに必死だった事もあって話としては雑です。ちょっと惜しいなあと思ったことがあります。それは、一人でクリアしてしまったので、サンタ討伐隊! みたいな話が書けなかったのが若干残念な所。
 ちなみに、このBlogを度々ご覧になっている方なら分かるかと思いますが、このBlogで書かれているクエストのお話は、おもしろ可笑しくする為に8割から9割創作でございます。つまり流れは殆ど嘘っぱちって事です。
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