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ちいさな、れなの話

2008年06月29日 21:32


 その日は、いつもより沢山嬉しい日になるはずだったのに。
 私は今でも時々、ここは御伽の国じゃないかなぁって思う事があるんです。
 お姉ちゃんと何時も一緒なのは嬉しいけど…… 時々お家に帰りたいって思うんです。

 前の日の晩ご飯。まうぼぉーどうふと、おみそしる、ごはんに、わかめときゅうり…… あと、しらすぼしをあえたすのもの (注1) 。いつも通り、私の前にお父さんとお母さん、私の横にレンお姉ちゃん。
「明日は風夏が帰って来るんだよ」
 お父さんが、どうだ驚いただろう? って得意げな顔をして、お母さんもいつもよりちょっと嬉しそうにしてた。レンお姉ちゃんも、顔には出さないけど落ち着かないみたいでソワソワしてる。風夏お姉ちゃんは、学校の寮で生活してて、夏休みになったから明日帰ってくる。レンお姉ちゃんは、お外で沢山遊んでくれるけど風夏お姉ちゃんはお家で本を読んでくれたり、オセロで遊んでくれたり、一緒にゲームしたりもしてくれて。走ったり跳んだりするのが、ちょっと苦手な私だから風夏お姉ちゃんが帰ってくるのはとっても嬉しい。
 レンお姉ちゃんも嬉しいよね? 早く明日にならないかなぁ。
「そうだねれなち (注2) 。じゃあお腹一杯食べて、今日は早めに寝ないとね……」
 お箸を置いて、くりくりっと頭を撫でてくれるお姉ちゃんの手が暖かかった事を私は覚えてます。

[続きは下のリンクから]
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 次の日―― 私にとって忘れられないその日。お昼近くになっても起きてこないレンお姉ちゃんを起こすために、ちょっと急な階段を登って起こしに行った。ドアをノック。
「レンおねーちゃん! そろそろ風夏おねーちゃん来ちゃうよ! 起きて!」
 ドアの向こうから、まだ寝てますよー当分起きませんよーって感じのお姉ちゃんの寝言が小さく聞こえました。このままドアをコンコンしても、私の手が痛くなるだけで、きっとお姉ちゃんは起きません。
「おねーちゃあん、はいりますよおっ……」
 案の定、タオルケットに丸まったお姉ちゃんはまだ寝てた。ミノムシになったお姉ちゃんを揺すって、それでも起きないから背中をポンポン叩いて。もう、お姉ちゃんねぼすけさんだなぁ。大きく息を吸い込んで、おっきな声でおはようを言えば起きるかなあ、どうかなあ。名探偵みたいに目を閉じて、ひらめいた時みたいに目を大きく明けてみたんだ。テレビだと、その後大体上手く行くから。
「ああっ! お姉ちゃんが光ってるよ!」
 ピカーっとレンお姉ちゃんが光ってた。せっかく大きく息を吸ったのに、びっくりしたから光ってるとしか言えなかった。電球みたいにまぶしいお姉ちゃんの光が眩しくて、ぱちぱち何回か瞬きするともうベッドの上にはだーれもいなかったんだよ! そう、お姉ちゃんがいなくなっちゃった! 声も出なくてきっと私の目はまん丸になってたと思う。お姉ちゃんがくるまってたタオルケットを叩いて、ベッドの下を覗いて…… やっぱりお姉ちゃんがいない。一昨日お姉ちゃんと遊んだ "くにょくにょ" (注3) みたいに四つ重ねた訳でもないのに消えちゃった。どうしよう、どうすればいいのかな。開けっ放しのドアの向こう、小さく開いた 「がちゃ」 ドアの音。
「母さん、ただいまー」
 風夏お姉ちゃんが帰ってきた! 私じゃ分からないけど風夏お姉ちゃんなら分かるかも知れない。お姉ちゃん頭良いよ、すごいんだよってレンお姉ちゃんも言ってたし。もし、レンお姉ちゃんが空気に溶けてしまったときの事を考えて窓とドア閉めて階段を駆け下りた。でも、私がちょっとぼうっとしてたからお姉ちゃんがちょっと漏れちゃったかも知れない。髪の毛とかもっと短くなっちゃってたら少し謝らないといけないなあ。

「あー、れな。相変わらず小さくて可愛いね~」
 風夏お姉ちゃんがクリクリと私の頭を撫でてくれました。何だか気持ちよいなぁ、レンお姉ちゃんと違ってそっと撫でてくれるなー。何だか嬉しくて、ちょっとだけレンお姉ちゃんの事忘れてました。ごめんね。
 身振り手振り、あと私が見たことを風夏お姉ちゃんに話したんだ。もしかしたらドッキリかもって思われちゃうかも知れないから頑張ったんだよ。
「とりあえず、レンの部屋言ってみようか」
 風夏お姉ちゃんと一緒にレンお姉ちゃんの部屋に入る。一番上のお姉ちゃんと一緒だからと言って、レンお姉ちゃんがベッドの下から出てくるような事もなくて。何だか私が凄く悪い事をしたからレンお姉ちゃんが消えちゃったのかも知れない、ちょっと悲しくなってきて。でも風夏お姉ちゃんは凄い、何でもないように私の髪をそっと撫でて。
「うーん。レンが何処に行ったかはさておいて、でもそれはれなのせいじゃない…… そうおねーちゃんは思うんだけどなぁ」
 何だか少し嬉しくなって、風夏お姉ちゃんをぎゅっとしたんだ。でも、これからどうしようねー、風夏お姉ちゃんが呟いた時に、また光った。眩しくて、目をあけてられないような光が。

 今度はどこにいっちゃうのかしっかり見ておかないと、お母さんやお父さんにお姉ちゃん達の事を知らせる為に何て言えばいいのか分からない。れな、私からちょっと離れてた方がいいかも。風夏お姉ちゃんが言うから少し離れて光に包まれるお姉ちゃんを見る、やっぱりクラクラするほど眩しい。
「おー」
 何やら考え事がまとまったような顔をして、風夏お姉ちゃんも消えてしまった。今度こそ、悲しくて悲しくて涙が止まらない。お姉ちゃんは何処にいっちゃったんだろう、れなを置いてどこに行っちゃったんだろう? 涙で曇った部屋に、さっきと同じ光が私を包んでる。見慣れたレンお姉ちゃんの部屋が白く染め上げられて、ふわっと落ちるような感じが怖くて思わず叫んだ。
「助けて、お姉ちゃん!」
 まるで声に応えるように私の耳元で大声がした。
来い! 勇者候補!
 映画館やお父さんの会社で見たような気がする偉そうなおじいちゃんが刃物を持って襲い掛かってきたの。もう悲しいとか、お姉ちゃんとか一昨日のくにょくにょでお母さんに久々にボロ負けしたことなんてどこかに飛んで行ってしまったんだ。紙飛行機がすうっと空を泳いでいくみたいに。

 それから不思議な国の王様に会って、もう帰れないって言われて。お姉ちゃん達がお城の中庭で待っててくれて。最初はレンお姉ちゃんと一緒の兵士さんだったけど、れなは手先が器用だしあっついのもへっちゃらだから武器職人さんとかいいかもねって言う風夏お姉ちゃんの勧めで鍛冶屋さんになって。今は三人一緒だから、寂しくないよ。うん、寂しくないよ!

Profile

名前: ××れな (日本人、風夏・レン姉妹の妹、末っ子)
性別: 女性
職業: 武器装備職人
年齢: まだまだ幼女
趣味: お料理、おいしいもの、楽しいこと、おねーちゃん
出没地: ファンブルグ西地区 病院前周辺- 最近は木材集めが大変らしい
特技: 長時間離席

☆文中の注釈

注1:わかめと胡瓜、白子干の酢の物。夏の健康食 (筆者の実家で度々登場)。

注2:レンは「れなちゃん」を縮めて「れなち」「れなちー」と呼ぶ。俗に「~たん」とかと同じ「ちゃん」が訛った呼び方。

注3:くにょくにょ → ゲームメーカーである "アセンブル" が開発したパズルゲーム。プラナリア並みの生命力を持つ "くにょくにょ" と呼ばれる生物を同じ色ごとに四つ重ねると消滅する。1Pゲームでは規定数の連鎖を達成させるか画面上にくにょくにょが残らないように消すとクリア。対戦モードでは自分が連鎖を起こすと相手に一定数の "ダメぇくにょ" が振り、このダメぇくにょに触れたくにょくにょは色が変わってしまう。要するに我々で言うところの "ぷよぷよ" に相当するゲームだと思って良い。

筆者あとがけ...............orz)
 そんな訳で、最後のキャラクターである末っ子れなのお話でした。ゲーム以外の最大の趣味が、小説 (らしきもの) を書くことである私ですが、小さな子供視点の話を書くときは何時だって難儀します。子供の思考プロセスは、絶えずループしながら、事実関係を主観で捉えるので擬音が多くなります。また逆に大人にはない繊細な聴覚もありますから、その部分も意識して書かないと何処と無く年齢不詳になってしまいます。何かと悩ましいです。勿論、このキャラ紹介はあくまでフィクションですので実際のれなさんはレンや風夏同様普通に喋ってます。だって中の人 (それは敗北主義者のプロパガンダだ! そのような物は存在しない!) 同じですものね。
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