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旅行インコ 第一話 - 脱却 Aパート

2008年02月21日 03:04

※ コンチェのプロフィール欄で日替わり連載でもしてみよう。そう思って書いたものの、訳が分からなくなったのと、記述を掘り下げることが出来ないのでテキトーにまぁ。一発書きと思いつきだけで書いてみようかな? と。


 幽かな記憶がある。

 何色とも形容できない光の中、見知らぬ女と良く見知った父と一緒に笑う。これは夢だと思う、そうだと思う。
 私は部屋の中、柵で囲われた部屋の中。そこがいわゆる座敷牢と呼ばれる場所であることを、私はテレビで初めて知り、父が買い与えたインコと鳥かごを見て実感した。
 ここに窓は無い。換気扇と自動運転のエアコンが常に空気を清浄に保っていた。部屋の灯りはつまみを回せば明るくなったり、暗くなったりした。起きた時は最大まで明るくし、眠るときは何も見えなくなるまで、つまみを回した。父が、そうしろと言ったからだ。

 テレビ、ラジオ、別室としてトイレと風呂。食事は父が差し入れてくれる。外に出る、外部と連絡を取れない事を除けば、完璧な環境だった。父は、私に常識と知識を植え付け、初めて訪れた "月の使者" についても優しい口調で私を落ち着かせてくれた。何の違和感も感じない生活。幽閉される娘と言うのは、テレビやラジオが語るところによると性的な対象にされるらしい。父にそういう事をされる…… 考えもつかない。また実際、父もそう言う事をしようとしなかった。
 不気味な位に、満たされていた。ただ、籠の外に出る自由だけが無かった。ある日の事、電球が切れたので父に頼んで替えて貰う。生まれてから、何年たったか…… 父は、私がもう十六歳になっているのだと言った。時間が流れるのは早い、そうとも言った。

「お前は外に出てみたいとは思わないのか?」
「私は、ここで生きていくことに」

 父の問いに、そのまま問題は無い、憂いは無いと言葉を続けることが出来なかった。一瞬とも永遠とも分からない僅かな沈黙の後、不満はないと。幸せだと言ったのかも知れない。
 その瞬間だった。大きな怒鳴り声、聞いたことの無い父の声。何か、恐ろしいモノでも見てしまったような震えた声。

「馬鹿者!」

 はじけ飛ぶ体。リノリウムの床に敷かれたカーペットに無様に叩きつけられた。何の事だか分からず、何故父が泣いているのかも分からず。ただ、私はこの時、この狭い籠の中から出ようと決めた。
 籠から出れば、父が何を考えているのか分かるような気がしたから。今は、父の気持ちが分からない。悲しいのか、怒っているのか。だから、不器用に微笑んだ。
「痛くない、痛くないからっ」
 父は黙って電球をつけ、つまみを回して明るくなるかを確かめた。
「済まなかったね、お前が幸せなら私はそれで良い。いいんだ」

 落胆しきった声で、父はいずこへと去って行く。後姿を見送り、まだジンジンと痛む頬をさする。この時、私はこの小さな部屋から出る事を決めた。たとえ、何があろうとも。

続劇、Bパートへ

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